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2013年7月24日水曜日

花嫁のれん その5 染め上がり

染屋さんがすごくがんばって早く仕上げてくださいました。(1ヶ月かかると思っていたのが10日ほど)
今日染め上がりを取りに行きました。



まずは、彩色終了時の地色が入っていない状態(糸目糊のついた状態)と染め上がりの比較

 左・・・彩色終了時
右・・・染め上がり時

ちょっと右と左の写真の彩度明度が違うのでわかりにくいですが、糸目糊がとれてその部分が白くあがり、全体にすっきりした感じになります。
糸目の細い線、見えるかな?


 そして、染め上がりの様子


 生地幅がバラバラでどうなっているのかわかりにくいですが、だいたいこんな感じ。



 花紋にした家紋


とにかく180cm四方ぐらいの大きさで、まだ仕立てていないため、全体の写真をとることができません。
これで雰囲気だけでも伝わるかなぁ?
仕立てたら、柄の流れがはっきりわかると思うのですが、どうでしょう。

とても綺麗な色に染まって、一安心です。


 

 おまけ画像

昨日咲いた今年1号のあさがお



2013年7月21日日曜日

「着ること」「似合うこと」は難しい

さて、大きな柄の花嫁のれんと平行して、のれんに似た柄のミニチュア着物を作りました。


 身丈(たて)が約42cm



 胴裏に紅絹(もみ)を使って素人の和裁


 人形に軽く羽織らせて
(帯も締めていない、おはしょりも無しの状態)


 ミニチュア着物は、人形に着せる用途とは別に、小さな衣桁に飾る小さな着物のイメージで、インテリア感覚で作ってきました。

大人の着物も同じことが言えますが(何度も書いてきたことの繰り返しになりますが)、飾ることを意識すると、着物の中心に目がいくように柄を配置しますが、着ることを意識すると、着物の中心は全部隠れる場所になります。


今回のミニチュアは、人形に着せる着物を意識して作りました。

人形の着物だから、子供用のように可愛い色、派手な色というわけではありません。
真っ赤な色柄、洋服感覚のデザイン性は、人形の顔立ちや雰囲気にもよりますが意外と似合わないことが多いです。
表情のある子は特に渋めの大人っぽいものの方がより似合います。
 (飾る分には派手な可愛い色・柄はOK)

今回も柄は人形に合わせてかなり小さめの古典柄。
牡丹・梅・椿
着て美しい柄の配置。
地色は上が赤紫の濃い色に裾はダークグリーン(これが思ったよりも渋すぎた・・・)

彩色終わった時点で、古くさーい。
ちっともお洒落じゃない・・・。

着物が古臭くなってしまったので、ちらちらと見える裏地や伊達襟に派手目の朱赤を持ってきて、ポイントをきかせてみました。

そして、本当に着物の難しいところは、人形に着せてみると、この古臭い着物が似合うってところです。

デザインに凝ったもの ・何か生き生きした新しいものをと意気込んで作った着物は、着せてみると意外と似合わない。顔移りがよくない。
特に何も考えずに作った、よくあるタイプが違和感なく似合う場合が多い。

これは、大人の着物にも言えることで、 全然お洒落じゃないのに、着る人によってすごく似合うし上品になる。
すごく大好きな柄なのに、私に似合ってくれない。変に浮いてしまう。

そして、人それぞれに似合う色・柄が違う。
顔移りのいい色・柄は、同じ系統のものでも人によって微妙な違いなんです。


着物を作ることは、本当に難しいです。
飾ること・作ることを考えるなら、あのデザインはいいとか、あの色がいいとか、絵画を観る感覚で好みに沿って良し悪しをつけられますが、「着ること」「似合うこと」には良し悪しがないのかも・・。
着る人主体で、より似合っていれば、それがベストな気がします。
優れた技術も、似合うこと・着て美しいことが前提なのではないかと、何を作っていいのか考えれば考えるほどわからなくなってきます。 
 
着物・衣装・ファッションは、難しい。
 

 
 
おまけ画像  昨日の相方の釣果

大きいクーラーボックスに大きめの魚

よく太ったアジ・かさご・なめら(こちらの言い方なのかな?私は知りませんが・・)

日焼け止め持っているはずなのに、真っ赤になって帰ってきました。
ヒリヒリ痛そう・・・

花嫁のれん その4 友禅工程

暑い日が続いています。
少しだけ夏バテ気味の私ですが、暑くなるとパソコンも調子悪くなります。
相方がお休み時に直してもらって余分なものを整理したら、 ブログの画面が違ってしまい、なかなか投稿できずにいました。
去年も同じようなことやっていたような・・・。
古いパソコンを「もうちょっとがんばってね」と励ましながら、また操作手順が変わるのが嫌で、新しくできずにいます。

花嫁のれんの投稿ができずにいる間に、友禅の工程を終えてしまいました。

 青花で下絵



 糸目糊で柄の輪郭を引く


 彩色終了

先週、地染め(染屋さんに地色を染めてもらう)に出してきました。

彩色終了時では、まだ地色が入っていないのと、柄の周りに糸目糊がついた状態です。
最終的な仕上がりはこの状態とかなり雰囲気が変わります。
この時点で、少しきつめかな?濃い目かな?ぐらいがちょうど柔らかく仕上がるので、ここで「綺麗ね」は、仕上がった時、かなり柄がぼけています。

画面ではわかりにくいですが、、牡丹の花はだいたい20cmぐらいの大きさで、梅の花が7~8cm。
本当に大きくて、糸目糊もいつもより太めで(輪郭を少し太い線にしました、)彩色も広い場所を大胆に。
派手目の色をどんどんと進めていくのは、結構気持ちがいい。
かなり集中して、彩色終了時は、ちょっとハイな気分でした。

染め上がりは、今月末ぐらいまでにお願いしたので、その後、仕立てに出して、出来上がるのが8月いっぱいぐらいかな?
時間がかかりますねぇ。
待つことも楽しみです。
(楽しみなのか、失敗してないかハラハラドキドキなのか・・)

2013年7月3日水曜日

内田善美さんの漫画・絵

本棚を整理しようと奥の方から久しぶりに取り出した昔の漫画
何気なく表紙を見ていて、いつの間にか夢中になって読み返し。(整理できなかった・・)



 草迷宮・草空間
内田善美 著
1985年 集英社

拾った捨て猫は魂を持った日本人形・・・

絵が綺麗。
カラーページの人形の着物がすごくすごく綺麗。(私が作るものよりずっと素敵)

28年前の本ですね。
購入当時、緻密に描き込んだ絵が、うまいなぁと思っても大好きというわけでなくて、ただストーリーのおもしろさのみ魅かれていました。

猫・人形・着物・・・。
当時そんなに興味持っていなかったキーワードが、今になって琴線に触れます。
(着物の仕事をしていたのに、古典柄にはまったく魅かれなかった)
その丁寧さ、完成度、すごい漫画だったんだと、再認識しました。


そして、こちらも読み返し





星の時計のLiddel ①~③
 内田善美 著
1985~1986年 集英社 

何度も夢に訪れる少女。 少女の夢を見ている間は無呼吸状態で・・

とても哲学・心理学的。
構成が完璧で、当時の私はストーリーの美しさに夢中になっていました。(やっぱり絵よりストーリー)



他の漫画が読みたくなって、アマゾンで調べてみたら、なんと、この人の漫画すごい値段がついているんです。

「 星の時計のLiddel 」で、漫画で表現したいものすべて出してしまい、きっぱり辞めてしまったそうです。
本人の所在がわからないので、重版することもできず、高値になっているとか。


鮮やかな去り方ですね。
いいとか悪いとか評価ではなくて、 潔い。

 内田善美さん、今どうしているんだろう。






2013年7月2日火曜日

花嫁のれん その3 下図と紋

のれんの図柄を何にするか?

大きな家紋(20cm直径)が2つ入るので、格調高い物です。
いつも考えさせられるのがこの紋の格。

格調高い柄となると、吉祥文とか有職文とか、鴛鴦・鶴・亀・・・
松竹梅・四君子・・・
花車・薬玉・御所解・・・

昔からある古典柄で、どうも古くさく感じて苦手です。
模様の本を写せばいいのですが、苦手意識が邪魔をして、いいものができる気がしない。

加賀友禅の特徴であるスケッチをもとにした写実はとても素敵なのですが、 お洒落感が先にたって格調高さを感じられません。
(好きなのは、もっとデザイン的なお洒落な花柄・・。)

20cmの家紋と、いろいろ調べてみた画像の前で、好きと格との間で本当に迷ってしまいました。

とりあえず、今回のコンセプトに立ち返り、

花嫁のれんといっても、「群青の間」に映えるものであること。
お客様をお迎えするのれんであること。
おそらく、こののれんの前で写真など撮られると思うので、人物を入れて美しく華やかな空間ができること。

そして思ったことが、「大きくはっきりと形が見える柄にしよう」

格とお洒落感ギリギリのところをねらって、紋に負けない大きさの牡丹をメインに決めました。
そして、家紋の「梅鉢」にちなんで、背景に大きな梅を散らす。
古典花柄だけれど、大胆に・・。


 雑で分かりにくいですが、小下図

下図を写真に撮ったのですが、全紙4枚で全体を写したら、まったく何が何かわからない。
上の小下図も作る本人しかわからないと思いますが、わからないまでも制作過程の一番初めをお見せするのもいいかな・・と、



 部分図ですが下図、梅と牡丹・・こんな感じ


 どんな風に出来上がるか・・・。



 そして、紋は「梅鉢紋」で。

当初、20cmの梅鉢を外注でお願いしようと思っていたのですが、 時間もコストもかなりかかりそうなので、自分で糸目を引いてなんとかならないか、染屋さんに相談に行きました。

大きな白抜き紋のイメージしか持っていなかったので、糸目(柄のまわりの輪郭線)の線が出ていいものかどうか?
「糸目引けるなら自分でするほうがいいし、好きな色ぬったらいいんや。花紋にしてもいいし、みんな結構自由にやっとるよ・・」と言われ、紋や格にこだわっていた気持ちがすぅーっと楽になりました。

 それで、紋もすこし自由に作ってみようと、

 左 梅鉢紋
右 梅枝紋

二つの紋を花紋のように合わせて、 ちょっと形を変えて、



できたのが これ

とりあえず、下図が完成しました。
後は、どんどん作業にとりかかるだけ。

どんなふうになるかは、作業手順を追ってご報告します。

ちょっと専門的になってしまいました。わかり難くて申し訳ありません。



2013年7月1日月曜日

花嫁のれん その2

数日前の北國新聞に、「花のれん展」(今日から展示)の記事が載っていました。
ちょうどのれんについていろいろ調べていたところだったので、さっそく観に行ってきました。


 入館時にもらったパンフレットの画像

金沢老舗記念館 
 金沢市長町2-2-45
℡ 076-220-2524
開館時間  午前9時30分~午後5時 (年中無休)
観覧料  100円 高校生以下無料

「花のれん展」  7月1日から9月30日まで展示

HP  http://www.kanazawa-cci.or.jp/shinise/memorialhall/






 全部で何点ぐらいあったのかな?
20点以上は展示されていたと思います。
会場内 写真撮影可。ブログもご自由にと許可を得ましたので、携帯でしっかり写真撮ってきました。
カメラ持って行くんだった・・・。

花嫁のれん、かなり迫力ありました。
綺麗。
初日ということもあって、新聞を見た私みたいな人が次々来られていました。
「孔雀や鴛鴦はやっぱりいいねぇ」
「あらぁ、豪華やねぇ。立派なお支度やぁ」

これから作ることもあって、ちょっと真剣に観ていました。

生地 5巾のものが多かったのですが、3巾のもの(紋は真ん中の巾に1つ)や、4巾(縫い目をまたいで2つ紋)のものもありました。

生地の種類もさまざまで、羽二重が多かったな。
羽二重の生地は薄めなので、ちょっと意外。縮緬が多いと思っていました。
地模様の入った生地もあったので、特に決まりはないのかもしれない。

そして、墨・顔彩の素描きや、友禅を併用したもの、友禅のみ と手法は結構多彩でした。

なんでもありなのかも・・・。
でも、大きくて、なんでも自由っていうのは、絵の力量が問われるなぁ・・・。



 2階に上がると、金沢の老舗に伝わる生活諸道具が展示されていました。
その中から、花嫁のれんに関連して


 結納の品・・婚礼模様
左側の花嫁のれんの前に積まれた箱は、和菓子屋さんから届けられる、お饅頭の箱 らしいです。
たくさん積み上げられるほどに立派な婚礼だとか・・


 花御輿(はなみこし)

すごく豪華な花です。
こんな注釈が・・・

 この注釈見ても、お菓子で出来ているなんてわからない精巧さです。
すごい


お近くで興味のある方は是非ご覧下さい。
建物も素敵です。