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2012年1月21日土曜日

「糸の詩」 森麗子作品集



古本屋さんで衝動買いした刺繍作家さんの刺繍の詩画集を紹介します。

「糸の詩」森麗子作品集
昭和52年(1977)
雄鷄社  発行

森 麗子さん  1921年3月6日生まれの刺繍作家

購入したのは少し前なのですが、昨日に続いて古い本です。
森麗子さんという方がどのような方か知らないのですが、1921年生まれとすると、存命ならば、90歳ですね。
この本の発行時で、56歳。
感性が若くて、今見てもまったく古さを感じさせない新しさや生き生きした表情が作品や詩の中にあります。
こんな風にずっと手仕事続けていければいいなぁ。

「とりの遊ぶ枝間」

「とりの遊ぶ枝間」

実生の白樺
それも初代から数えて三代目が
二階の屋根を
越すほどになった
一階の窓から見ていると
唯太く育った幹と
何條かの枝が威勢よく
空に向っているのが見えるばかりだ
あとは
こんもりとした
緑の茂みからくる春や夏の気配が
辺にただよっているのを楽しんでいる
小鳥たちも
その枝間に遊ぶのがすきで
朝のひとときはことににぎやかに枝が揺れる
部屋の中からぼんやり眺めていても
小鳥の誰かと目があうと
胸がドキっとすることがある
あんなに小さな目なのに
生き生きと光っていて本当に可愛らしい
こうした無心な鳥との交流は
孤独な心のやり場でもあり
それは又
創作への情熱の一つの源泉ともなっている
私の心は
小鳥と共にリズミカルに枝間をとび
そこから無限の幻想に
進展してゆく



「魚が川をのぼるころ」

「魚が川をのぼるころ」

道ばたの草に
実が
つきはじめた
秋が何処からか一人
二人と来て立っている
川には
魚がのぼりはじめ
木立が
何となく淋しくなって来た
もみじするには早すぎて
花は
色あせて散っていった
アラスカコットンの綿花が白くなり
この辺には
もう
柳蘭の明るいピンクも
みられない


少し季節はずれの詩2編になってしまいました。
この本に載っている冬の詩は少なくて、春や秋が多いです。
写真はちょっとぶれて綺麗に撮れていませんが、繊細で綺麗な糸の線です。

明日、「手作り」への思いが書かれた表紙の詩を取り上げます。
ずいぶん以前に書かれた詩ですが、しっかり感情移入してしまいました。

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