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2011年10月18日火曜日

帯の模様  

 黒地丸文の袋帯


昨日に続いて、手持ちの帯の柄について書きます。
上の黒地の袋帯は、ずいぶん前のものと思われます。
全体に綺麗なのですが、よく見れば、丸文の円部分の金がところどころ黒ずんでいたり汚れていたりしています。
大きな柄がパキッとはっきり自己主張しているので、色が合えば振袖などの変わり結びが華やかになりそうです。
漠然と丸文と思っていましたが、調べてみたら、同じような図柄で「鎌倉文」と出ていました。
丸文の中は、向鶴文、桐文、松文、打出の小槌文、と、吉祥柄です。

昨日同様、「きもの文様図鑑」(婦人画報社)から抜書きします。


鎌倉文(かまくらもん)

 丸の中に花や蝶、器物などを紋のように図案化して入れた丸文です。
悩装束や狂言の袴などによく使うので狂言紋尽くしとよぶこともあります。
昔は刺繍で表現しましたが、現代では別の地紋の上に、鎌倉文様を散らした袋帯や、若い人の友禅染があります。


向鶴文(むかいつるもん)

 舞鶴を二羽、上下か左右に向かい合わせにした文様。
これを一単位として外形が円形、楕円形、四角形、菱形になるようにしたもの。
有職模様(ゆうそくもよう)のひとつですが、小紋などにも見られます。
また家紋としても、南部家や蒲生家(がもうけ)のものが知られています。

有職文様(ゆうそくもんよう)
平安時代以来、公家の服装、調度、輿車などの装飾に用いられた、独自の様式をもつ文様の総称です。
古典文様としても、その多くが吉祥文様として、現代の衣装に伝えられています。代表的なものに、襷文(たすきもん)、浮線綾(ふせんりょう)、菱文(ひしもん)、立涌(たてわく)、亀甲(きっこう)、七宝(しっぽう)、石畳(いしだたみ)、鳳凰(ほうおう)、向蝶(むかいちょう)などがあります。




桐文(きりもん)

 中国では、鳳凰の住む木として貴ばれ、日本でも菊と共に皇室の紋とされていました。
普通、三枚の葉に三房の花をつけて文様化され、中の房に七花、左右に五花をつけた五七の桐、同じく五三の桐(中央五花、左右三花)、鳳凰を配した桐鳳凰紋など多数あり、祝儀のきものや袋帯に使います。



打出の小槌文(うちでのこづちもん)


おとぎ話の一寸法師や七福神の大黒天の持つ、打出の小槌は、振れば背が伸びたりほしいものが手に入るという縁起もので、宝尽くし文の中に必ず入れられ、吉祥柄とされてきました。子供のきものや、男ものの長襦袢、また礼装などの文様に用いられます。




 ざっくり紬地のデザイン化された花
太鼓柄


前柄


地色は鉄御納戸(てつおなんど)が近いです。
(日本の伝統色 和色大辞典参考  http://www.colordic.org/w/)

頂き物の名古屋帯です。
大事に締められていたようで、柄の周りが少ししわができていますがとても味わいある素朴な風情です。
紬や小紋など、お洒落着用。
少し渋い地色も、柄も大好きです。
こんな風に余分な線がなく簡単に生き生きとデザインできればいいのですが、ついつい描き込み過ぎてしまいます。

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