あっぷりけの帯 太鼓柄
太鼓とそっくりですが前柄です
こちらの方が小さい
少し前、オークションで宮脇綾子さんの帯を購入しました。
赤茶色(朱色に黒糸を織り込んだ)の紬地に木綿の生地を「あっぷりけ」した帯です。
写真を見た時、手持ちの着物に合うのがないかもと思ったのですが、実物が見たくて落札してしまいました。
カトレア柄です。
微妙にゆるやかな花の線と葉の流れ。
うまいなぁ。
ずいぶん昔、京都の「京都書院」の美術書コーナーで宮脇綾子さんの「あっぷりけ」の本をみつけました。
昭和56年11月15日発行
定価 6800円
と書かれています。
お金がなかったので、どうしようか何度も何度も迷って、それでも欲しくて買ってしまいました。
植物や魚・対象物が生き生きと動き出すのは、すごいデッサン力と、無駄を省く引き算のデザイン力。(余計なものを足さない) 構図と空間の意識。
買った当初は、デザイン性・絵画性にばかり魅せられていましたが、最近は、使われているひとつひとつの布に目がいくようになりました。
この柄がこんなふうに使われているのかぁ とか、こんな材質もあり? とか・・・。
捨てられても不思議でない小さな布が新たな生命を与えられる。
おおげさな表現になってしまいましたね。
もうずいぶん前に「京都書院」はなくなってしまいました。
工芸書・美術書で素敵な本をたくさん出版していました。
ベストセラーとはあまり縁のなさそうな本・・・。
フジアート出版もその後、ずいぶん前になくなりました。
同じように、伝統工芸の手仕事も苦しんでいます。
心のこもった品物が大事にされる、そんな一見当たり前のことが難しくなっているようです。
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