ここしばらく振袖の制作が続いていました。
昨年、娘と振袖の話をしていて・・
「私が結婚する時は、打掛とか振袖とか作ってくれるの?」と聞かれ、
「ええっ・・無理無理・・、お金ないし、1日だけのために贅沢だよ レンタルでしょう・・作ったことないし・・」と即答したのですが、
答えてからすぐに、
作ったことないけれど、せっかくこの仕事をしているのだから
婚礼衣装なんて一番華やかな着物を作ってみるのもいいかも・・と思い直し・・
楽しいかも・・
作りたいなぁ・・
と、いつもの「作りたい病」が頭をもたげました。
そう、子供たちがそろそろみな適齢期なんですねぇ。
いざ、作ろうとなると、
普通の振袖とどう違うのか、
引き振袖と打掛の違いは?
寸法は?
昔々自分も打掛着たはずなのに わからないことばかり・・
「 25ans 花嫁のきもの」 から
左・打掛 右・引き振袖
今年に入って、和裁士さんや知り合いに、打掛のこと引き振袖のこといろいろ聞いて、そしてネットで調べました。
まず、打掛は、下に掛下という着物を着て帯を締めて、上から羽織る。
帯の上から着るので、身幅(前幅・後幅)が振袖よりも広くなる。(前幅・後幅それぞれ+約3分)
引き振袖は、普通の振袖よりも引きずる分、身丈が長くなる。(+約5寸)
引き振袖も打掛も、繰り越し(襟ぐりの開き方)が大きい (繰り越し1寸)
どっちを作るか?
とりあえず、身幅を広めにとれば、仕立て方で打掛にも引き振袖にもならないかしら?
と、当初考えていましたが・・
生地屋さんに聞いてみたところ、打掛の方が少し張りのある重みのある生地が使われるとか・・
どっちを作るか? 引き振袖? 打掛?
ずいぶん迷って、いろいろ本を見て、
引き振袖の上から打掛
引き振袖の上に打掛を重ねているのを見つけ・・
両方作るのもありかも?
色と柄の重ねも楽しめる・・
気持ちが急に2枚制作に傾き始めました。
「作りたい病」が止まらない・・
160㎝身長ならこんな寸法かな とだいたい出してみたので記録しておきます。
表を貼り付けようと思ったら、うまくいかなかったので、数字の羅列
わかりにくくて、専門的ですみません。
振袖 引き振袖 打掛 の 順番でかっこ内(数字)は㎝です
身丈(肩) 仕立て上がり 4尺3寸5分(164.8) 5尺(189.4) 5尺1寸(193.2)
裁切寸法 4尺6寸5分 5尺2寸(197.0) 5尺3寸(200.8)
裄 1尺8寸(68.2) 1尺8寸(68.2) 1尺8寸2分(68.9)
肩幅 8寸8分(33.3) 8寸8分(33.3) 8寸9分(33.7)
袖幅 9寸2分(34.8) 9寸2分(34.8) 9寸3分(35.2)
前幅 6寸5分(24.6) 6寸5分(24.6) 7寸(26.5) 打掛 振袖+3分
後幅 8寸(30.3) 8寸(30.3) 8寸3分(31.4) 打掛 振袖+3分
袖丈 仕立て上がり 2尺9寸(109.9) 2尺9寸(109.9) 2尺9寸~3尺 (身長-50㎝)
裁切寸法 3尺1寸(117.4) 3尺1寸(117.4) 3尺2寸(121.2)
繰越 7分(2.7) 1寸(3.8) 1寸(3.8)
褄下 2尺1寸(79.5) 3尺(113.6) 3尺(113.6)
ふき なし 5分(2.0) 1寸5分(5.7)
八掛 四巾 1尺8寸(68.2) 2尺2~3寸(83.5) 打掛(通し裏地)
おくみ 2尺8寸(106.1) 3尺6~7寸(136.5)
袖口・衿先 1尺5寸(56.9) 1尺5寸(56.9)
八掛に必要な長さ 1丈1尺5寸(435.6) 1丈4尺4寸(545.5) 約5丈(1894)
引き振袖の身丈は、普通の振袖の身丈+約5寸で身長+20㎝以上
打掛の身丈は 引き振袖の身丈+1寸
褄下寸法は まず、衿丈を決めてから仕立てる
衿丈はだいたい2尺2寸~4寸
引き振袖は仕立て方によって裏地の分量が変わってくる
普通の八掛けをつけた仕立て方
比翼仕立て
2枚着物をきているように裏地が2重になっている
(裾部分が2重でふき入り?)
比翼仕立てにすると、比翼の生地が別に5丈(約20m)必要で、
和裁士さんに聞くと、婚礼用は一般的には比翼仕立てとか
そして、仕立ての代金も聞いてみると、
着物によって違うけれど、打掛で12万~
引き振袖で10万~ とか・・・
友禅作家さんなんて貧乏人なので、考えただけで気が遠くなりそう・・
さて、どうするか?
もう何も考えないで、なりゆきに任せて、
先日、打掛生地を購入してしまいました・・
今かかっている仕事が終わったら、5月に入ってからゆっくり打掛の下図を考える予定・・
ちなみに・・特にまだ娘の結婚が決まったわけではないので、
作ったところで、実際に着てくれるかどうか全くの未定
最近の結婚事情もまったくわからないし・・
その上、婚礼衣装などこれから先依頼があるとはまったく思えないので、
最初で最後の制作になるだろうなぁ。
考えないで、突っ走ろうと思っています。